樹脂を取り巻く商環境について

 樹脂はブラシ毛材自体として、また毛材を植え込む母材として、当社でも数多く使用しております。樹脂とひとことで言っても多岐にわたり、ナイロン・PVC・POM・PP・ABS・他、様々な樹脂が様々な加工を施されてブラシ製品となり、各現場で活躍しています。
2021年の北米における大寒波が発端となり、フォースマジュール(不可抗力宣言)が出されました。さらにロシアのウクライナ侵攻が原因となった全世界のエネルギー供給不安が決定打となり、世界中の樹脂全般が入手困難となっています。
当社においても例外ではなく、半年待っても納品されない樹脂部材が多数ありお客様にもご迷惑をおかけしております。
原材料自体の不足も問題ですが、それを加工するメーカーの問題もあり、樹脂よりもより需要が高く高利益をもたらす半導体の業界に鞍替えする加工メーカーも多いと耳にします。このことも、樹脂部材が納入困難になっている原因に一つとも言えます。

【工夫する各社】

 では、どのようにして上記問題を乗り越えるのか?各社、業界における取組をいくつかご紹介致します。

原材料の量増し1

PP素材に籾(もみ)を混在させた樹脂

PP素材に籾(もみ)を混在させた樹脂

旅行の際、目にした歯ブラシの柄が茶色でした。説明書を見ると、樹脂に藁を混ぜ込んで量増しをしているのだそうです。ちなみに写真は籾を混ぜ込み製作した樹脂です。

②原料の量増し2

PBTとPETを混毛したブラシ製品

PBTとPETを混毛したブラシ製品

ブラシ業界においても、毛材を混毛し量増しを行うことがあります。混毛とは異素材の毛材を均等に混ぜて使用することです。写真はPBTとPETを混毛したブラシ製品です。両素材のアイノコで、各々の比率を調整しつつ製作しています。もちろん成分の関係上、全部の環境にこの混毛は当てはまりません。この使用目的においては、成分ではなく硬度が重要とのことで混毛による量増しが可能になりました。

③異素材で対応

樹脂のかわりに石を使った柄。樹脂に比べ重量が増す

樹脂のかわりに石を使った柄。樹脂に比べ重量が増す

全くの異素材を樹脂に見立てて使用しています。写真は石を原材料にしているとのことです。持ってみると若干重い気がしました。重量が問題になる現場には不向きですが、それ以外であれば樹脂の代替えとして問題無く使用できそうです。さらに以前ご紹介しました、バイオマス毛材の使用も素材自体を見直すことにつながるかもしれません。

環境に配慮した素材:バイオマスプラ

環境に配慮した素材:バイオマスプラ

 今回の樹脂不足は、世界中で大変な問題になっています。しかしながら、視点を変えれば今まで使われなかった異素材の再活用や再利用につながり、SDGs貢献にもつながるのではないでしょうか。