私が筆者としてあくまで個人的に考えるには、現状のブラシ業界を取り巻く環境は特に好調とは言えません。短期的な問題としては以下が挙げられます。
- ブラシ毛材となる化学繊維の価格は高止まり状態が続いています。
- チャンネルブラシに使われる金属の価格は少し落ち着いたものの、依然として高値が続いています。
- 植込みブラシにおける植毛台座となる各種樹脂や木材の入手困難が続いています。
ブラシの主要部材全体が価格上昇の流れにあり、先行きは不透明です。これらは短期的な部材関連の懸念事項ですが、長期的に見ると、さらに以下の問題があります。
- 科学技術の急速な進歩により、植毛工程の完全自動化やAIなどの最新技術の導入が驚異的なスピードで進行しそうです。
- ブラシの主要生産国である欧米では、最新技術による植毛技術の発展(特に生産能力の向上)は非常に歓迎されるでしょう。
- 一方、ブラシの生産が後進的な日本やアジア圏では、ブラシの需要に対するロット数の問題(主に小ロットが多い)、オーダーメイドの個別品の需要が非常に多いのが現状です。
これらの背景により、日本国内での完全自動化は進行しづらいと考えられます。欧米のブラシメーカーが最新技術の導入を推進する一方、日本国内には純粋な植毛機メーカーすら存在しない状況から、欧米との技術や精度、生産能力の格差はますます広がると思われます。
これらを踏まえると、一般的な商品については、欧米製のブラシ製品の流入が増え、日本のブラシメーカーの市場シェアは侵食されてしまうのではないかと心配しています。
何ができる?
では、日本国内のブラシメーカーは、生き残るために何ができるのでしょうか?
前述の「小ロットやオーダーメイド」というデメリットにこそ、答えがあると私は考えます。発想の転換が必要です。小ロットだからこそ実現可能なスピーディーで確実な納期対応、高品質の維持。オーダーメイドだからこそできる細かく複雑な仕事、それによる耐久性の向上。お客様の要望を多く反映したブラシ製品を製作し、顧客満足度の向上を目指すべきです。各メーカーが可能なことや取り組めることを模索し、お客様のために情熱を込めたブラシを製作していくと思います。
当社ももちろん例外ではありません。ブラシに対する情熱は他のどこにも負けません。ブラシのことなら何でもお気軽にご相談ください。