【66ナイロンの価格高騰並びに供給不足に関して】
当社においてもそうですが、一般的に工業用のブラシにおいてナイロンと言いますと、66ナイロンを使用することがほとんどです。
しかしながら、数年前の北米における大寒波をきっかけに新型コロナウィルスの影響も重なって、66ナイロンの素材料を供給するメーカーが安定して供給することを不可能とした「不可抗力宣言」を発令しました。これにより、世界的な規模で66ナイロンが不足し各加工メーカーによる確保合戦が起こり価格は高騰、安定的に供給がなされないという事態に陥っています。フィラメント(ブラシ毛材)においては、価格が高騰しており高額で確保できたとしても納品までに今まで以上に時間が必要となっており、大混乱を招いております。樹脂に関しては皆様も御存じの通り他の素材(PP、PVC、PET他)においても同様の事態が起こっている模様です。
【当社における対応】
しかしながら、ブラシ自体の需要は落ちてはおらず供給への要望に変化はありません。当社におきましては、今まで確保していた特別在庫の66ナイロンを使用したり、各毛材メーカー様の協力を得たりして何とか供給を保ってきました。また、お客様に対する値上げのお願いによりギリギリのところで対応をしてまいりました。しかしながら、この66ナイロン問題の出口は見えず、価格は高止まり傾向にあり2023年に設立されるという新プラントの稼働までは予断を許さない状況であります。その一方で需要と供給のバランスにより、価格は安定してくるのではないかという他方での見解もあり、本当の意味で先行き不透明となっています。当社におきましては、各方面の情報を注視しながら最良の価格でのフィラメント確保を行っております。
【代替え案】
そんななか、仲間内の毛材メーカーからは代替え案として6ナイロンを推奨する声が上がっています。6ナイロンは66ナイロンとは異なる部分がある一方で、現状は安定した価格で安定した供給が可能であることから代替え品として採用される事案が多々あるとのことです。6ナイロンの特性は以下の通りです。
- 比較的柔らかい。
- 吸水性が若干高い。
- 融点が低い。
上記のことから、66ナイロンの代替えとして用いる際は、線径を66ナイロン時より若干太いものを採用する必要があるかもしれません(ソフトな毛腰のブラシをお求めのお客様には向いているかもしれません)。また、吸水性が高いことから水分を使用する現場での採用には慎重になるべきです。吸水することで毛腰が弱くなりブラッシング力が落ちます。長期にわたりブラシを使用する現場より、定期的に交換して使用する現場の方が向いているかもしれません。
どちらにしても試作を行い、実際の環境にてテストする必要があります。ブラシは使用する環境(温度、湿度、連続使用時間、ブラッシングスピード、ブラッシング圧力他)により耐久性や効果が大きく変わる製品です。これらをクリアできれば、安定的に供給が可能で価格も落ち着いている6ナイロンに変更することをお勧めします。
66ナイロン問題でお困りのお客様は気軽に御相談下さい。